2008年2月8日金曜日

まぐれ—投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか

まぐれ—投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか
http://www.amazon.co.jp/dp/4478001227

を読みました。


著者の主張はこんな感じ。

株価の予測、投機の成功や不成功はまぐれでしかない。
マーコビッツの分散投資の理論?、そんなの論文を出さないと食っていけない
象牙の塔の住人が書いた非科学的な理論ですね。

結局世の中のほとんどの現象はまぐれ、たまたまでしかない。
そのたまたまが、目の前では見えやすいから成功している、
と錯覚しているだけ。

アルファ?そんなのもまぐれ。
必死になって新聞、雑誌で情報収集することなど、愚の骨頂。

--

ただ、ひとつ言えることは、
いまの金融市場はとても歪んでいて、まぐれに頼らなくても
精査に調べれば高い確率でアルファを得られる可能性がある、
ということ。

これは、著者が、相場に大きな歪みが生じているときに、
出動してトレードする、という戦略にも共通点がある。

2008年1月27日日曜日

アルファを探して三千里

アルファとはなんでしょう?

グラフィックス野郎にアルファと言うと、
「えっ,半透明がどうしました?」
という答えがかえってくるでしょう。

金融の世界におけるアルファとは、投資における市場平均のリターンを越える超過利益のことです。

このアルファの取得のために、近代的な投資理論が生まれてからこの 50 年間、
世界中の研究者、実務家、投機家がしのぎを削ってきましたが、
まだだれひとりとして確実なアルファを得る手法を
見つけた人間はいません。
(Ed Thorp の Princeton Newport Partners はかなり良い線を行っていたと思いますが)

投資における現在のひとつの解は、S&P 500 インデックスを買って持ちづづける。
ただこれだけ。
つまり思考停止ですね。

得られるアルファはゼロだけど、まあ損もしないし、平均的に成功する
(年利 7-9%)。

じゃあ思考停止のままでもいいのかというと、以外とこれが暇なので、
自分はサルになってしまうのではないかとさえ思えてきます。

暇なんだったら、でもやはりどこかにアルファが隠れているのではないかと、
探す旅に出るのも悪くないわけです。せっかく知能があるわけですから、
将来の発展のためにも知能を使わないとね。

まあアルファを求めて世界中の人間が血眼になって物事の片隅から漁っている
わけですから、個人にできるのは限られているかもしれません。

でも、ニュートンも投資(投機?)をした。
情報理論のシャノンも、株式市場からアルファを得られないか研究した。
偉大なる科学者や天才も、アルファを研究したわけです。

アルファの探求には、人類の科学的英知の探求を引きつける魅力があるのかもしれません。

最終的にアルファが見つけられなくても、皆がどんな方法でアルファを見つけようと
したか、その人類の英知の軌跡を見ていくのもよいのではないかと思う。
どうせ思考停止で暇なんだから。

基本的なスタンスとしては、

- Fischer Black  先生を尊敬します。
- Andrew Lo 先生を尊敬します。

です。

つまり CAPM、無裁定理論をベースにしながらも、
ときどき行動ファイナンス的なアプローチもやりますよ、
という感じ。

金融系の最新論文も読み込んでいきたいと思いますが、
グラフィックスの研究と違って、以外と web で公開されていないんですよね。
そこがちょっと残念なところ。
図書館へ足を運ぶ回数が多くなるかも。

参考文献

アルファとは何かをふくめ、近代金融(投資)理論をひととおりレビューするには、
これがおすすめ。

αを探せ!最強の証券投資理論——マーコヴィッツからカーネマンまで
http://www.jkwilton.com/searchingforalpha.htm